熱中症にご注意を　　　　　　髙栁　孝行医師

　今年もすでに真夏日が記録され、熱中症で救急搬送される人が見受けられます。ヒトは体温が36～37度くらいに調節されていますが、暑さに対して体内から体を冷やす機能はなく、汗をかいて汗が蒸散する時に皮膚の熱を奪うことで体温を下げます。

汗は塩分を含んでいるので水分と一緒に塩分も出ていきます。高温・多湿・無風の環境にいると体に熱がこもり、水分と塩分のバランスが崩れ、脱水症状を起こし熱中症を発症します。

高齢の方は体温上昇に気づきにくく、自宅で普通に生活していて発症することも多く、また暑い日中だけでなく、夕方や夜にも発症することもあり注意が必要です。特に高血圧・糖尿病・心臓病など持病のある人は脱水を起こし易く注意が必要です。

のどの渇きは“かくれ脱水”のサインといわれます。熱中症の症状としては、めまい、立ちくらみ、吐き気、頭痛、こむら返りなどが見られますが、そんな時は体を冷やし水分補給し、症状の改善が見られなければ医療機関を受診する必要があります。

予防としては

①       　日中は勿論、夜間も室内を涼しく、エアコンを使いこなす。

②       　こまめな水分補給

③       　暑さに慣れる。体温を調節する機能の維持・強化のためには食事や運動が大切です。

　夏野菜は水分とミネラルが豊富です。バランスよく食事をとり暑さを乗り切りましょう。

　幼児や高齢者には周囲で心くばりをしてあげてください。水分の補給には、水だけでなく若干の塩分・糖分が加わるとよいのですが、持病によってはそれらの制限が必要な場合もありますので、主治医と相談してみてください。