前回、喫煙による呼吸器疾患の一つとしてCOPDについて話しましたが、周知のごとく、タバコの害はそれだけではありません。タバコの煙の中には約4,000種類の化学物質が含まれており、そのうち約200種類について人体への有害性がみられ、数十種類には発がん性が認められています。肺がん、喉頭がん、食道がんなどあらゆる癌の危険因子であり、虚血性心臓病、脳卒中や骨粗鬆症にも関連しているといわれます。また胃潰瘍や歯周炎、皮膚の老化、味覚や嗅覚障害などの原因にもなります。
タバコの害は喫煙本数に比例して増すことがはっきりしており、喫煙期間が長いほどリスクが高くなります。更に喫煙は脳の老化や動脈硬化を引き起こし、吸わない人に比べて認知症になる危険も2倍になり、日常生活動作の低下を招き、要介護の遠因にもなりかねません。 最近では電子タバコが日本でも広がりつつあるようですが、その有害性も指摘されています。健康を守るためには禁煙しかありません。
大戸診療所 髙栁孝行